ママとアイ
パパがー ママの子どものときの写真待ち受けにしてんじゃん
ふれあい動物園で餌やってるやつ
うん
かわいいのわかるんだけどちょっときもいよね
あの変態パパとどんな恋愛したの
え
ママってなんかモテんじゃん
うん
アイもなんかモテんじゃん
うん
好きになられると好きになっちゃうじゃん
好きな人がたくさんいるアイっておかしいのかな
そんなことない
ママもアイと同じだったよ
子どものときから変わんない
5歳くらいのとき公園のブランコで知らないおじさんに写真を撮られたことあるの
需要や価値について初めて考えた出来事だったかも
ママのママに話したら あらそうって感じだった
え なにそれやばいじゃん
でも確かに悪い気しないよね
需要あると供給してあげたくなっちゃうのわかる
田舎の海で友だちとナンパされた話してたじゃん
ああいうときってどうしてんの
え
何してるってきかれても海見てるーって目を合わせない
ああいう輩はおれたち車だから乗りなよとか言ってくる
完全にやりもくだからつまんないんだよ
本とか読まないんだよ
明日も朝が当たり前に来て
自分以外の誰かがご飯を作ってくれると信じてんだよ
それは愚かー
でもさ いい感じの人だったらちょっとだけ話したいじゃん
ライン交換しようとかさ
しないけどさ いやしたんだけど
かわいいって言われたらうれしいじゃん
そしたらもう好きじゃん
1回だけその人と街歩いてみたんだけど
マッッッジで話つまんないの
悔しいけどパパの方がおもしろいの
そりゃあ生きてる年数が違うしさ
あの人超個性的な生い立ちだしさ
ネタもたくさんお持ちでしょうよ
変態だけどなんかすごいの書くし
雑学王みたいなとこあるよなー
ママも若いとき ママのパパの話きくの好きだったよ
アイと同じくらいのとき 告白されて付き合うけど振られるを繰り返してたんだけど
草
おれより頭いいからつらいって言われがちだった
わかる
アイもそうだもん
テスト見せ合ってから気まずくなった
同い年を諦めたのは
彼女と別れてきたって付き合って すぐ別れて元カノと復縁した人からかなあー
彼女は廊下ですれ違うたび漫画みたいに鼻息荒くしてきて
ママのせいじゃないし 理不尽だし
それから恋愛最盛期みたいな波が来るんだよ
パパはまだかな
パパはもう少し
バイト先の2個上の調理師に誘われてちょっと遊んだけど
その人彼女いて 大人ってずるいってなって
後にその同僚と付き合い始めてすぐ ママは進学で地元を離れたの
今思えば大したことない距離だけど 遠距離になって1年経った頃
かまって欲しくて浮気したって電話あって じゃあ別れようって
え くず
その1ヶ月前バイト先の大学生と朝まで過ごして手を繋いで円山の神社まで行ったんだけど
どっちもどっちか
うん
ちょっと待って 麦茶足してくるから
うん
喉乾く話だよね
その大学生 はじめはかわいがってくれたんだ
だんだんママが通ってこなかった知識分野でマウント取ってくるようになってさ
また電話なんだけどね 別れたいって話したら演技で泣かれて余計に冷めたよね
それを横で聞いていた
ああ うん 予想できる
ひとまわり以上歳上の人と付き合うことになったの
待って待って あまりに上じゃない
うん
でも今アラフィフから見た35歳なんて全然若者だよ
ママが就職してから籍も入れた
忙しすぎて一緒に生活してた記憶も薄いっちゃ薄いけど
だんだんモラハラされるようになって 友だちと会うのも制限してくるんだよ
この世で1番嫌いな人になったよね
まじかー ママ大変だったじゃん
そうねー
別れる1年前にこの投稿サイトに登録したの
初めて顔の知らない人と文通した
それがおにいちゃんのパパかあ
ここからはパパにしか話したことないんだけどききたいかな
うん
上京前にお仕事でお世話になっている人とワンナイトした
まじかー
アイまだそういうのわかんないけど需要に応えたんだよね
ツーナイト目もあった
数とかもはや意味をなさないね
相手は独り身じゃない、ママもまだ別れてもらえてなかったから独り身じゃない、加えて他に付き合っている人がいて
ダブル不倫+みたいな名前つければいいのか
あはは
なんかー アイはまだわかんないけど
ママは寂しかったのかなあ
そうねー
それもそうかもだけど 自分の輪郭が揺れてたんだろうね
常識的には軽いとか遊んでるとか誰でもいいんだろとか
最低とか自己中とか頭おかしいとかありえないとかネガティブに言われるからさ
他人にはそう話すこともないんだ
でも瞬間瞬間には親愛があるんだよ
アイは真っ直ぐ受け止めてくれるから話してみた
てかパパとはいつ出逢ったの
おにいちゃんのパパと同時期に知り合ってはいたの 友だちだったの
おにいちゃんのパパがいなくなって何年かあとに
ずっとずっと好きでしたって
もうこんなずっとずっと見てくれる人いないだろうってさ
それでヒイが生まれたのか
うん
それから随分経ったけど 居場所は揺れなくなったよ
よかったねー
ママからも質問していいかな
うん
どうしてアイは生まれてこなかったの
コメント
これは詩なのでフィクションです。
不覚にも最後でちょっと泣きました。情緒不安定おじさんですみません…
いろんなものがギッシリ詰まっていてこの作品も何回も読んでしまうやつだ。こういうものを創作できる才能に痺れます。
もし小さい時の自分が現れたら、互いに親しみはあるけれど、別個なように思えそうで、でも相棒のように感じるのだろうな、と考えました。根本的な誰しものひとりぼっちさ。ふと不思議になるが、そういうものだから悲観はないけれど。情緒深い素敵な詩ですね。
読み始めた時から違和感がありました。なんだろう、この違和感の正体はと考えた時に、それはほんのりと香る狂気なのだと思いました。強烈な狂気なのではなく、ほんのりとした狂気。ママと娘の会話。ママはアラフィフだから娘もそれ相応の年ごろなんだろうけれど幼い感じがするし、よくよく読むと、ママと娘の女子トークではなくて、ママの一方的な独白なんだよね。娘はいい感じであいの手をいれているだけで。となると、この詩に漂う狂気はこの生々しい情報をひたすら独白するその精神に行き着くのだけれど、考えてみれば詩を書き、詩を読み、詩を愛する時点で、わたしたちは頭がおかしいのかもしれない。そして、たとえばこの詩をすべて自分の経験に振り替えてみると、多分、誰しもが狂気じみている人生を送っているのだと気づく。社会を正常に動かすためには仮面は必要だよね、と思います。最近、「向日葵の咲かない夏」を読み終えたばかりなので背筋が冷んやりとしました。
おー 最後にきれいに持っていかれました。
金原ひとみの小説にこういう母と娘が出てくる。お母さんは自由、唯我独尊で、家族も彼氏もみんな大事で好き。娘とは友達で親子で対等でなんでも話し合う。娘は普通じゃない母を見て育つのだけど、おませで多感で優しくていい子。
ママとアイもすごくいいです。パパも。想像しました。アイが育っていたらこんなかんじだったかもと想像したママも。
この詩は、一見、なんでも話し合える母子(おやこ)なんですが、ラストで、おお、そうなのか!と。
たちばなさんの、読ませる力を この詩でも味わいました。
@あぶくも
さん
どうしたんですか、関東久々に空が暗いからですか。
毎時間、生活(創造)と同軸で想像(妄想)が頭にあります。そんなでよければ憧れてください。要約すると嬉しいということです。
@野鳥倶楽部
さん
小さい時の自分が現れたら、一緒に絵を描いたり空想を出し合って物語を書き上げたいです。
それと服を買い込んで、鏡の前で取っ替え引っ替えあれも似合うこれも似合うってやりたいです。
@たけだたもつ
さん
え うれしいです 違和感ありますよねー
たもつさんに香る狂気なんて書いてもらったら、脳内でサンバカーニバルとロックフェスとホテルバイキングが同時開催ですよ。
社会を正常に動かす渦の中に紛れる為には演技を学ばなくてはならなく、演技を学ぶということは人を学ぶことで、他者の前で演じ認められてはじめて紛れるふりが出来る。紛れてるふりを気づかないふりをする人に助けられることもあります。
本はあらすじ読んでおおって思いました。
たもつさんはこのコメントとしてはアイを娘と読んだんですね。
@たかぼ
さん
わー 最後の1行は詩を書きはじてすぐfixしました。
@花巻まりか
さん
“家族も彼氏もみんな大事で好き”
共感しちゃうなぁ。
挙げてくださったそれらだけを聞くといい話ですね。金原ひとみですね。(脳内メモ)
普通ってなんなんでしょうね。一生わからなくていいけれど。
でも説明書は好きなんです。基準値は知りたい。
@こしごえ
さん
こしごえさんのあかるいコメント、嬉しいです。
序列が苦手で、対等でありたいと願うのです、何事も。
いろいろとまいりました。アイはいづこ(by太宰)