ハト
今朝の通勤電車
スマホから飛ばした音楽を
イヤホンで聞きながら
スマホ持って来たっけ
滑稽な不安に陥った
その原因は
ハトのお客様が
目立って多かったためだ
網棚や通勤客の肩に
ハトのお客様が乗っており
僕の頭の上にも一羽とまっていた
ハトのお客様は森下駅で
我先に争いながら全員降りた
いくぶん空いた車内で
ハトたちが森下駅で降りた理由を
スマホで調べたところ
駅からバス二十分の道の駅で
豆の特売があるそうだ
ハトたちがどうやって
こんなローカルな情報を得たのか
これもスマホで調べたところ
ハトたちは脳外神経伝達物質を
互いにやり取りする
いわゆるテレパシーを駆使しているという
道の駅で特売の張り紙を見たハトが
ビビビッとやって
他のハトが感知したというわけだ
さらにスマホで調べたところ
脳外神経伝達について
伝達物質発散と受容のメカニズムが
自分にはあると一羽のハトが閃き
他のハトに試みたら伝達可能であったという
経験や訓練によるものではなく
元来備わっていた能力らしい
ハト、鳥類の起源を恐竜にまで遡ると
鳥類は数億年にわたる進化を経ているため
人間が空想する能力を
有していてもおかしくはない
ここで最寄り駅に着いた
スマホをカバンに入れる際に
今まで調べていたことは
ホームに零れ落ち
僕は人混みを足早に
どの改札機が空いているか
人生の最重要課題のように
熱心に考え始めた
コメント
ハトのお客様、不条理な感じでいいですね。
ホームに零れ落ちたものの行く末が気になりました。
鳩の糞には病原菌が満載だし、人の家の庭の木に平気で巣を作ろうとするし、フレンチでは鳩肉が重宝されるが美味しいと思ったことがないですが、この詩はとても美味しいです。