あなた
わたしがわたしの詩の中で
あなた
と書くとき
あなたの中にあなたがいなかったなら
そこにあなたは
いることができないだろう
あなたがあなたであるのは
あなたのあなたにも
あなたのあなたのあなたにも
みんな
あなたがいるおかげなのだ
いるはずのないあなたなら
読む人のだれひとりとして
あなたを思うことすらできないだろう
わたしはわたしの詩の中で
あなた
と書く
わたしの中にはあなたがいる
わたしがわたしの詩の中で
あなた
と書くとき
あなたの中にあなたがいなかったなら
そこにあなたは
いることができないだろう
あなたがあなたであるのは
あなたのあなたにも
あなたのあなたのあなたにも
みんな
あなたがいるおかげなのだ
いるはずのないあなたなら
読む人のだれひとりとして
あなたを思うことすらできないだろう
わたしはわたしの詩の中で
あなた
と書く
わたしの中にはあなたがいる
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コメント
帰納法的な存在論であり、なおかつ恋愛詩のようにも読めるのは、あなた(読者)に対する特別な想いがあるんでしょう。
多くの人に読んでもらおうとするのなら、本来こうあるべきなんでしょうね。
俺の“あなた”や“きみ”はそうではないので、独り言になってしまうんですね。納得。
他者を意識した詩を書く時、この詩と同じような、意識、意思を私も持ちます。あなたがいて、わたしがいる。わたしがいて、あなたがいる。
最期の4行が、出だしの3行と呼応しながらも、それまでのすべてを掬い取っていて、見事に着地している感が素直にすごいと思います。
@トノモトショウ
さん、ありがとうございます。
今さら自分で読んでみて、なんだかコメントしづらい詩だなぁと思いました。
つまりそういう意味でコメントへの返信も難しいもんですね(^^)
明確なあなたに向けているようで、そうでもないような、何とも言えないなぁ。
@BENI
さん、ありがとうございます。
何だか説教臭い詩に読めたようで自分的にはかなり戸惑っています。
詩なんか(という言い方は詩に失礼ですが)独り言でいいじゃないか、とも嘯いていたいものです。
@長谷川 忍
さん、ありがとうございます。
実は自分は他者を意識することが得意ではないなと自分で思っているのです。
チャーリー浜さんのギャグの深さに気づきますね。
https://youtu.be/WAHUQAnHf3E
@佐藤宏
さん、ありがとうございます。
誰もがあなたと書いている時にそのあなたにそれはわたしだと思ってもらえたらそれでいい気もしますね。
ゲシュタルト崩壊しながら読みました。
(酔っ払った感覚にも似ています。)
三連目の遊び心が好きです。
こんな風に書けちゃうの凄いと思います。おもしろいお方!
@たちばなまこと
さん、ありがとうございます。
ゲシュタルト崩壊しましたかw
みなさんがいろんな読み方をしてくれてるのがわかって興味深いです。
自分の中では割と素直にそのまま書いたつもりなんですが、「あなた」という言葉そのものの威力がそうさせているのかも知れませんね。