別れなんてね、電車。
乾いた空気が、私の喉を突く。
コンコンと咳き込むと、周りの目線はこちらを指す
嫌な世の中に嫌気が差すけれど、気にしないで電車は進む。
どこへ向かっているのか、分からなくなるスピードで。
近鉄奈良線の電車の色が好きだった。
彼と電車を待つのが好きだった。
鶴橋駅のホームに漂う焼肉の匂いが好きだった。
彼と食べたあの味が好きだった。
高架下を歩くのが好きだった。
彼と帰るあの道が好きだった。
好き。がいつの間にか、好きだった。に変わった。
変わったのに気付いた時には、二人とも
気持ちが離れていっていた。
努力しても頑張ったとしても、あの頃には戻れない。
そう、戻れない。
乾いた空気が、私の喉を突く。
ゴホゴホと咳き込むと、また周りの目線はこちらを指す
嫌な世の中、嫌な世界だけれど、気にしないで電車は進む。
戻れないスピードで。
コメント
今でも、気になる人なのか
良い恋だったのか
気になります
遠い日のように
愛し合った記憶が
何気ない風景を変えていきます