キメラ・マーブル

わたしの手足、胴体、それはキメラである
しかしてマーブル　銀河の最深部へと
おまえは人間なのか、しかしてギロチンの刃の上に立つ
境界線は存在しないからキスしておくれ
わたしの頭部は海峡のように舌をのばす
だからおまえは開胸のすばらしさ
見えるようにしておくれ・肺も心臓も胃も食道も
ツンドラの切開する森林の血を吐き出して
この星のガイザリア、自己は嘔吐する
すなおな気持ちを聞かせておくれ
カマキリの言葉のように、そして昼間の交尾
やさしさの産卵のように、けだるい裸体の夕べ
黒色ピアノの開かれた生殖器
わたしはひとりで顔のあたりをモザイクする
それは急流の岩から加工される肌の痛み
人間の皮膚のアンタレスのレーザーの痛み
砕け散る・ヒンズーの神々の・原色の現場から
君たちは裸体の饗宴のシンボルの火炎となり
静かにわたしの言葉を聞け
アーン・ドーン・娘たちの喉は開く
ムーン・シーン・快楽は杭に打たれる
わたしのキメラはすべての官能を捕縛する
ウーン・トーン・男たちは杭にさらされる
きわめてゆるやかな神事の展開のときに熱水
おたけびを地下へと鎮めよう
乱雑に衣服は部屋にちりばめられて
君はただ生まれたばかりの精神のかたまりである
形をもたない細胞のあつまり
それがキメラ、それが栄光のはじまり
眼を開き、この宇宙のすべての真理を
わが身体のことわりのごとくにして、語る
はりつめた原子のまじわり
本質する体内の血流からはじきだされる
粒子・それはまるで無数の精子
わたしの子供たち、崩壊するウランの唇
かき混ぜられる銀河の子宮の内部
わたしは愛撫する、びんかんな大陸
わたしは隆起する億年の感覚器官、舌先で
はげしく森林をなぎ倒しマーブルの破壊する喉を
わたしははげしく氷河を海へと、行為する
それらは真実の愛欲の気圏である
デリケートなシンボルは噴出する
なだらかな地面の流出する
わがキメラ、
わがマーブル、
そしておまえは「死ぬ」。