かぜ
難しい数式は 波を揺らすかもしれない
難しい人々は 学者を嗤うかもしれない
難しく見せたいテレビが 暗い部屋を照らすように
洞穴探して跳ねるのは 片肢の獣たち
あっという間に風の中 足跡は残さずに
君をベッドに縛りつけたのは どんな影を曳いていた?
覚えていなけりゃ またやって来るね
もっと深い影を連れて 下から忍び寄るよ
顔をまとう布切れは 山あり谷あり
白黒赤の 山あり谷あり
うっとうしすぎて そのうち安心してしまう
洞穴探して跳ねるのは 片肢の獣たち
あっという間に風の中 足跡は残さずに
においも残さずに
風が海へと運んでいくだろう
早すぎる春になって 暑すぎる夏になって
喉が刺すほど渇いてから 慌てて数字を消す
洞穴探して跳ねるのは 片肢の獣たち
真面目なテレビの中で 風の数式を書くだろう
コメント
カッコいい画像です
天使なのか、妖精なのか
ベッドに縛り付ける力があるやうです
@那津na2
コメントありがとうございます。
目視できない恐怖を、「かぜ」と表現しています。
“怖いもの”を想像しながら、再度読んでいただけると、この詩の本当の意味が分かるかもしれません。
ぜひぜひ。
ちなみに私の感じる”怖いもの”とは、病気(このご時世なら…)ですね。
今晩は! コメント有難うございました 風は見えないけれど、黒髪を靡かせている時に
風のかたちが見える気がします また 寄らせて頂きます