濁り
履き込んだスパイク。
紅く照ったタータン。
ベスト煽るタイマー。
ピンがゴムに噛み付く。
刹那、反発で前に出る。
思春期特有の自意識。
神にもなれる万能感。
否定が美徳の大人達。
それが聞こえなくなるまで、
肺から乾いた悲鳴を奏でる。
刺さるような視線。
視界を塞ぐ下衆顔。
首席を譲らぬヤツ。
それが見えなくなるまで、
前方の景色を手繰り寄す。
やがて静寂と自分だけの世界に辿り着き、
その先にやはりあの娘の顔が浮かびたつ。
脚がもつれる。
挙句、今ではスリッパしか履かないのだけどね。
コメント
急に冷え込んで、末端冷え性でさ、その上に履物がつっかけしかなくてね。
不意に思い出した。
あまりに世界はあけっぴろげで、「はきもの」はすでに吐瀉物のごとく、それでも重力の世界は、神を要請する。侵略するものは言葉ではなく、とうぜんこうだよと、わたしにだけ言う。あったかい場所へ行きたい。スリッパはあまりに冷たい。
首席を譲らぬヤツ
かあ、感慨深いですね
色々とイマジネーションを広げられます
スリッパは楽です!