ひょうたん
これは栄華を運んでいた舟
竜骨は腐りかけ舵は湾曲し
帆は裂けてしまい風を抱けない
海図を読める人間は他の舟へ移った
航海士は遭難を言い出せず
船長は水平線を眺める
白髪の多い者から食糧を受け取り
力仕事をする者の大半は脚気に
そして昨日よりも海面が近づく
星の顔ぶれがお馴染みになり
それを見上げた白髪の赤鼻集団が冗談混じりに詰る
おかに上がるより先にお迎えが来ちまうよ。
若手の船員が立ち上がる
酷く痩せ学も無いが決意した
泳ごう。
きっと彼は力尽き
海に溶けていくのだが
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