下街陣地

下街陣地

水に色づいた川の波浪に
乾いた僕の心無垢に流れ 
島国で最も気がかりな街
過去に閉じ込められる

すべての路地がこの街に通ずる
夕闇の突堤あたり

アメジストの分子が飛ぶ
まるでビー玉の街

銀メッキの舗道
オレンジのネオンが染まり
そこはかとない
渦巻き状の据えた匂い

うっかりすれば一本の
摩天楼の巣に生き捕られ
余暇さえ餌食になる

きみがここでそびえられる理由は何だい

空想都市と断定するには
程遠い
生ぬるい風と苔の匂いが充満し
路面電車の古びた振動が
生産される下街陣地に

きみの見下した視線と
僕の上目遣いが交差する階に
エレベーターガール

只今の高さ250メートル

風が通り過ぎる階で
ございます

投稿者

大阪府

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。