明け方のカカシ
月の灯りの中で
雪のなかから生える
雑草の折れた先に
カカシが見る夢は
過ぎ去った秋の
笑い声
空に流れていく高層雲の
向こうに見える星の
砂粒のような細やかな
白い、白い、白い
眩しいほどの昨日と
幻のような陽の光
田の中にはまだ蛙は戻らず
待ち侘びて雪の中で
それでも尚
待つことしか彼は知らない
朽ちかけて尚
立ち尽くすことしか知らない
夜が明ける
彼にはあげる声がない
煙突は雲を作り始める
冷たい雪に
カカシは膝を降り
静かに夢を見る。
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