幸せの二度寝
深海魚の様に
唸り声を響かせて
貨物列車が走っていく
がたごとがたごと
揺れるアパートの壁は
頼りないがそれでも
雨風を凌ぐには役に立つ
まだ日も明けてない
時間帯に
目が覚めてしまった
季節はすっかり冬のそれ
冷たく寒い風が
夜の闇に紛れて街を
冷やしにかかってくる
ああ布団の中の
温もりだけが唯一の幸せだ
幸せを逃さない様に
身体を抱きしめて
丸くなって目を閉じる
さっきまで浸っていた
夢の続きを見ようと
頭の後ろあたりに
意識を向ける
じわじわと眠気が
頭の後ろから全体に
広がっていく感覚を感じとる
徐々に身体から力が抜けて
深い海の底に沈んでいく所を想像する
深い海の底を漂い流れている海月の
触手にでも絡んでいけば
あっと言う間にさっきまで
見ていた夢の続き
真っ暗闇の中でも七色に輝く
美しい海月が魅せてくれる
夢の様な時間帯
幸せの時間帯は
二度目の夢の中にこそある
コメント