三度目の小径
会社の正門を出ると横断歩道を渡って右折する
そこに
名前も知らない神社がある
給料日に銀行へ寄る時だけ利用するようになった
神社の境内のわき道
一人通れる足幅の草だけが禿げて
出くわす犬と
リードを持つ人へ挨拶する
それは三度目に犬と出くわさないでいた
陽の 落ちるには未だ早い小径
境内を見ると
密になる樹が影をおとす地の燃えている
束となって連なる松明の様な ほのお
こんなにも
彼岸花が根を下ろす場所とは知らなかった
夕目暗になるのを待ってみることにしようか
境内はまるで能舞台でもみるかのようで
聞こえてくるかもしれない
四拍子が しめやかに胸へ忍び寄り
掛け声は気持ち良い冷やかさとなって
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