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眩暈が襲う午後
西陽に瞳が奪われたら
じゅくじゅくと痛む右手で追い払う
積み上げた領収書が滲みながら責めてくる
冷静さなどアイロンで焦がしてしまったし
散らかした糸枷を
グラデーションに並べ直すぐらいにしか
魔法は残っていない
閃光を撃ち込まれてひっくり返ったっきり
蜜になってしまった
がんばっているけれど わたし
あたりまえじゃないけれど わたし
張り倒してしまいたい
ちからもないけれど
助走をつけて飛ぶ
急降下の先迎えに来る上昇気流で
めくるめく虚脱を放つなら
仮縫いにでもして
きのうもきょうもきもちいいことをして
夏には生まれ変われ
新しい細胞の匂いから精鋭をあつめて
うなだれた深傷を励まして繕え
*
コメント
最後の命令形がカッコよかったです、たちばなまこと然としていて。
1連の領収書等の現実感と、2連の本音の声から、とくに伝わります。
timoさん
嬉しいコメント!ありがとうございます。
服部さん
ありがとうございます。目の付け所がやっぱり違うなあ、と感動しました。
2連目、ぐっときました。
がんばっているけれど わたし/あたりまえじゃないけれど わたし
それから、最終連の2行も、ぐっときました。
新しい細胞の匂いから清悦をあつめて/うなだれた深傷を励まして繕え
長谷川さん
いつも誠実に読んでくださりありがとうございます。励みになります。
ぐっとくるって、嬉しいことばですね。
ナツコさん
おしゃれって、一番嬉しい誉め言葉のひとつです!
いつまでも放つ側でいたいです。
誰にでもある退廃的な感情を独特の言葉で表現している所に惹かれます!
拙詩へのコメントありがとうございました。返信機能がない様なのでこちらで失礼します。
南方さん
舞い上がってしまうような嬉しいコメントありがとうございます!