サマーホリデー1994
休みの日には
行く場所がない
独身者寮二階洗面室
の窓から
サンダル履きの女
近づくのが見えて
おばさんと呼ぶに若く
おねえちゃんと呼ぶには
年を経てそうな
ぼくの眼下で止まって
きょろきょろ辺りを見回して
もそもそもそもそもそ
道端にしゃがみこむ
じっと見る
ぼくは
息を詰めてじっと
なぜそんなところで
というのはきっと愚問で
そここそが放尿すべき場所だったのだ
色褪せた紺色スカート
その地面に
もちろん染みは
当たり前に生まれていく
ゆっくり広がって
筋から帯になって
アスファルトを黒々と侵して
顔を上げろ
そのまま顔を上げてくれ
そして気づいてくれ
ぼくはここにいる
あなたの顔が見たいんだ
そして見つめあおう
微笑みあうんだ
この腐った暑い朝に
ぼくら
し終えた彼女
紙を取り出し拭くこともなく
もそもそもそもそ
歩きだす
変わらない歩調で
色褪せた紺色スカート
サンダルの音がカロッカリッと
だらだら遠ざかって小さくなって
おばさんと呼ぶに若く
おねえちゃんと呼ぶには
年を経てそうな
女、角を曲がって
消えてしまって
やがて蒸発しはじめるだろう染み
休みの日には
会う人もない
コメント
これまで過去に執筆した作品を改稿し、こちらにて公開させていただいてきました。
TBS、日本テレビと新たなシナリオコンクールが創設されたこともあり、それに応募できるかどうかわかりませんが、シナリオ一筋で書いていきたい、コンクールに挑みたいという欲求がいっそう強くなりました。
ですので、本作の公開をを持ちまして、詩作はいったんの区切りとさせていただきます。
拙作お読みいただきました皆様、本当にありがとうございました。
折に触れ、皆様の玉稿拝読させていただきます。
心優しい皆様のご健筆を心より願っております。
@平瀬たかのり
さん、シナリオの方もいつか読んでみたいです、がんばってくださいね。
また、こちらにも戻ってきてくれると嬉しいです。
@あぶくも様
ありがとうございます。ちょっと今まで以上にシナリオ創作、応募にに力をいれたくなりまして。
でも自分の原点は詩作だと思っていますから、こちらから離れることなく、皆様の心のこもった作品をこれからも拝読させ続けていただこうと思っております。
きっと、また詩を書きたいと思う時がくるのじゃないかと、自分でも思っています。その時にはシナリオコンクールの受賞者としてこちらに戻ってきたい、そんなワタシです(笑)。