大工を、ベーコンが襲う
「緊急警報！ 大工を、ベーコンが襲いました」
それを聞いた私は、朝食のコーンフレークを食べ終えると、急いでコートを着て現場に向かう。
現場に着くと、
大工の顔に、大きな大きなベーコンが張り付いている。
唸る大工。
私はフライパンに焼いた卵の乗ったものを、バッグから取り出すと、ラップを外し、大工の顔に張り付いて離れないベーコンの近くに、寄せる。
すると、ポタポタと油の滲み出るベーコンの本能が疼き、卵の入ったフライパンに飛び込む。
正にこれは、永劫回帰。回帰思想。
収まるところに、収まることを自ら望む。
ところで大工をベーコンが襲った本当の理由は？
大工がベーコンに机を作っている間、おとなしくしていろと冷蔵庫の扉を開けて、怒ったことが原因だそうな。
コメント
ナンセンスですが、テキストがしっかりしているので安心して読め、じんわりと面白さがやってきます。
私、バッグにそんなものいれてくるな！
ベーコン、怒りの沸騰低すぎ！
などと気持ち良くツッコミがいれられます。
それにしても我々は本能には勝てないのでしょうか。
年取ると理にかなったもの理にかなったことだけの会話を求められる。そこに楽しい輪ができるかというと違いますよね。最後に冷蔵庫のベーコンに命令するより、フライパンの上のベーコンに命令したほうがよかったかとか、細かいディテールにこだわる。アメリカのナンセンスもの、ノベルティ系のとか、ああいうの好きです。本能は煩悩でもあり、負けることで、外に出られる。そんな感じかと。