不在

ある日、あなたの背中に
窓があるのを見つけた
開けてみると
普通に外の景色があった
眩しければ鳥になるといいよ
とあなたが言うので
わたしは鳥になって
空へと飛びたつしかなかった
空はあんなに青いのに
どこまで行っても
あの青に 包まれることはない
飛びたった窓が
開け放たれているのが見えて
あなたがもう
不在であると知った

投稿者

コメント

  1. ふと、若山牧水の歌を想いだしました。【白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ】
    最終の四行がとても切なく、感じ入りました。これは秀逸な作品ですね。

  2. 背中に窓があるという不思議な感じ、そしてその窓から飛び立つ鳥になった私。浮遊感もあって素敵だなと思いました。儚げな情景も綺麗だなと。良い作品を読めて嬉しいです。

  3. 切ない。そうするといいよと言われたらそうするしかない。前だとすぐに見つかっちゃう。だから背中。いつか見つかってもいいように。もう二度とあの青は見れない。誰かに見せることはできるけど

  4. @レタス
    レタスさん、コメントありがとうございます。レタスさんは文学お詳しいのですね。私は文学関連に籍を置いていましたが、全然勉強しなかったので、もの知らないままです。
    青、というと、キタニタツヤの青のすみか、とか、パスピエのあの青と青と青などを思い出してしまう。あとは、谷川俊太郎の空の青さを見つめていると、とか。
    秀逸というお言葉、ありがたく頂戴します。

  5. @きょこち(久遠恭子)
    きょこちさん、コメントありがといございます。楽しんでいただき、何よりです。
    言葉で浮遊感を出すのは取り組んでいる課題のひとつです。説明が難しいのですが、言葉に段差を作って、すっ、と落ちるときのふわっとした感覚、というか。

  6. @花巻まりか
    花巻まりかさん、コメントありがとうございます。花巻さんのコメント、切ないな。一生懸命に何かを抱えていて、何かを捨てようとしていて。わかったふうな口をきくな、と怒られそうだけれど。

  7. @たけだたもつさん
    いえいえ、それほど詳しくありません。
    たけだたもつさんの詩は若山牧水に勝るとも劣らない
    とても素敵な詩です。感動しました。

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