不在
ある日、あなたの背中に
窓があるのを見つけた
開けてみると
普通に外の景色があった
眩しければ鳥になるといいよ
とあなたが言うので
わたしは鳥になって
空へと飛びたつしかなかった
空はあんなに青いのに
どこまで行っても
あの青に 包まれることはない
飛びたった窓が
開け放たれているのが見えて
あなたがもう
不在であると知った
ある日、あなたの背中に
窓があるのを見つけた
開けてみると
普通に外の景色があった
眩しければ鳥になるといいよ
とあなたが言うので
わたしは鳥になって
空へと飛びたつしかなかった
空はあんなに青いのに
どこまで行っても
あの青に 包まれることはない
飛びたった窓が
開け放たれているのが見えて
あなたがもう
不在であると知った
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コメント
ふと、若山牧水の歌を想いだしました。【白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ】
最終の四行がとても切なく、感じ入りました。これは秀逸な作品ですね。
背中に窓があるという不思議な感じ、そしてその窓から飛び立つ鳥になった私。浮遊感もあって素敵だなと思いました。儚げな情景も綺麗だなと。良い作品を読めて嬉しいです。
切ない。そうするといいよと言われたらそうするしかない。前だとすぐに見つかっちゃう。だから背中。いつか見つかってもいいように。もう二度とあの青は見れない。誰かに見せることはできるけど
@レタス
レタスさん、コメントありがとうございます。レタスさんは文学お詳しいのですね。私は文学関連に籍を置いていましたが、全然勉強しなかったので、もの知らないままです。
青、というと、キタニタツヤの青のすみか、とか、パスピエのあの青と青と青などを思い出してしまう。あとは、谷川俊太郎の空の青さを見つめていると、とか。
秀逸というお言葉、ありがたく頂戴します。
@きょこち(久遠恭子)
きょこちさん、コメントありがといございます。楽しんでいただき、何よりです。
言葉で浮遊感を出すのは取り組んでいる課題のひとつです。説明が難しいのですが、言葉に段差を作って、すっ、と落ちるときのふわっとした感覚、というか。
@花巻まりか
花巻まりかさん、コメントありがとうございます。花巻さんのコメント、切ないな。一生懸命に何かを抱えていて、何かを捨てようとしていて。わかったふうな口をきくな、と怒られそうだけれど。
@たけだたもつさん
いえいえ、それほど詳しくありません。
たけだたもつさんの詩は若山牧水に勝るとも劣らない
とても素敵な詩です。感動しました。