fine arts

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【解説】
20年近く前、フィレンツェに行った折、ホテルからタクシーを飛ばし早朝のサンマルコ修道院を訪れた。ミュージアムの開館と同時に入館するためだ。修道院であったこの美術館にはフラ・ベアト・アンジェリコのフレスコ画が保存されている。フレスコ画は壁画なので持ち出すことができない。フラ・アンジェリコの「受胎告知」を見るために私はここを訪れたのだ。平日の早朝には観光客もいない。階段を上って振り返ると壁にその絵があった。静謐な館内で一人、マリアそして天使ガブリエルと対峙する。小雨が止んで光が差し込む。

投稿者

愛知県

コメント

  1. 僕は宗教、信心についてどうしても概念的に捉えているばかりでその本当のところをわかってはいないと思います(わかっている気にはなっているけれど)
    その上で考えてもこのような芸術はひたすらに信心によって捧げられ、そこには妙な自己アピールも入らず、もちろんフラスコ画なので経済性も薄く、そもそも芸術を目指していないと言えるでしょう。
    芸術を求めない芸術、それこそが純粋。

    無垢な少女はその薄い眠りの中でなにを見たのでしょう。
    たかぼさんが階段を昇って出迎えられた静謐の神秘だったでしょうか。
    それはさっきまでの雨を割って昇る朝日に輝き、息をのむ光景だったでしょうか。
    捧げられるべき純粋さでしょうか。
    詩の下にうっすら見える天使ガウリイル、その羽のように心に直接届く圧倒があったでしょうね。

    とは言え、僕は先に書いた様に信心に疎いので、この『受胎告知』の素晴らしい構図と素朴な美しさとは別に(特にこのアーチの連なりが好きです)
    ほんとうにマリアには葛藤はなく受け入れられたのかとか、フラ・アンジェリコの懐具合はどのくらいだったのかとか(清貧だったのかな)、余計なことに心を分けてしまいファインアートの門になかなか入れてもらえません。
    ああ、また余計なことを。。アヴェ・マリア

  2. 王殺しさん、いつも真摯なコメントありがとうございます。マリアの葛藤は考える価値のあるテーマですね。でも史実に基づいた考察ができないので哲学的にならざるを得ないですけれども。ともあれ受胎告知は人気のある題材ですよね。私はダ・ヴィンチの受胎告知もとても好きです。エル・グレコのは倉敷の大原美術館で見ることができますが、これが日本にあるのは奇跡的なことだと言われていますね。ご覧になりましたか? もしまだなら是非どうぞ。

  3. この詩の世界を美しいと感じます。
    この詩を読んだ時、うれしい、という感情が起きました。すてきです。

  4. こしごえさん。嬉しいコメントありがとうございました。

  5. 西脇順三郎の詩を、思い出しました。とくに、最終連。モダニズム的な魅力ですね。

  6. 長谷川忍さん、ありがとうございます。巨匠の名を引き合いに出して頂いて光栄です。

  7. この間、漱石を読んだんですけど、インクのことを印気(インキ)と表現されてました。
    批評するようで申し訳ないけど、浮いたカタカナをおされ日本語に置き換え手も面白そう!

  8. わにわにさん。国によって独特の匂いがあります。ベルギーに行った時には街中で本当にビールの匂いがしました。ビールといっても日本のビールではないです。要するに地ビールなのですが、最も特徴的なものはランビックという自然発酵、つまり放置して空気中の菌で自然に発酵させる製法のものです。そうするとオシッコのような臭いになるのです。つまり街中がどことなくオシッコ臭い。さらにここにチョコレートの匂いも混じるのです。さすがベルギーです。さて、イタリアではどうでしょう。何となくヨーロッパのインクの匂いがしたのです。ヨーロッパで使用されている新聞やチラシなどに感じられるもので、安い紙の匂いなのかもしれませんが、日本のものとは明らかに異なります。私たちには慣れてしまって分からなくなっていますが外国人からしたら日本の匂いというものもあるのかもしれません。それにしても印気とはなかなか洒落た言葉ですね。

  9. たかぼさんに会いたいと思うほど、素敵な詩を読ませていただき、ありがとうございます。

  10. 服部剛さん。過分なお言葉ありがとうございます!

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