水影
水の惑星の縁に群れる雲は
答のない問いをささやき
そよ風といっしょに耳をなぜる
私は私の影なので
生き身は自然からのかりもの
魂は何とは言い切れない何かへとつながっている
雪国の
六つの花の降りつもった層が解ける日和に
いずれどの道死はおとずれるのだから
しんみりと深呼吸
和室の深夜
オールド ファッション グラスにいれてある
水道水を口にふくみ終えたあと
円卓上で 愛用万年筆が さまざまな紙に告白をする
そうしてまわりまわって沈黙にいたる
せせらぎの遠さに
万有引力の気配がする
二度とない初めての朝をむかえれば
下弦の月に見つかる
無数の星を宿した宙はもはや
影の眠る墓
むかしむかしのおもい出
あえてよかった
光
気が付けば 言うことなし
と書いた
岸辺に立ち
悲しいことも 刻まれている
歴史のつづきを重ねて行く
あなたのいのちと
コメント
皆様からの感想などのコメントを歓迎します。
こしごえさんらしい詩から、静かな深い歓びが伝わります。
無常という日本における美意識をここでも見ます。
僕は日本人が元来持つ諸行無常感をいたく愛しています。
剛さんへ 静かな深い歓びを感じたりしてくれて、ありがとうございます。よろこびを感じることができることにも、感謝です。
王殺しさんへ この詩に無常を見てくれまして、ありがとうさま。
はい、生活をしている中で、諸行無常を思うことがあります。そして、行雲流水が、私の理想の生活方法です。うん。
野生の息吹と
禅に至る詩と
空を感じます
心が透き通ります
那津さんへ この詩から、それらのことを感じてくれて、貴重に思います。うーん、禅に至るとか空(くう)というのは、この詩を書く際には意識していなかったように思います。
なので、那津さんが、それらのことを私に気付かせてくれて ありがたいです。ありがとうございます。
心が透き通るとのこと。そう思い、それを私に伝えてくれて うれしいです。
4連目、特に好きです。
知らない国の出来事のようです。
たちばなさんへ 4連目を特に好きと言ってくれて、ありがとうございます。
知らない国の出来事のように感じたりしてくれることを貴重に思います。そういう具合にこの詩から想像などをしてくれたのでしょうから、ありがたいです。