
ある光の記憶
ある光の記憶
歳を取ると
補完するものが
勝手に増えていく
平等じゃない世界が
その理由だと
僕は思ってしまう
そう思った瞬間に
失くしたものの声が
後ろから
風に乗ってやってくる
足るを知る
それ以上の何かが
ふいに胸を満たすと
戸惑いが始まる
油断すると
皮まで剥がされ
寒い夜に
裸足で歩かされるような感覚に
追いつかれてしまう
それでも
瞬間をモノにしたくて
つい
受け取ってしまう
たぶん
そういう時に限って
神様は
そばにいたと思う
「神はいる」
そう思えた一瞬の
僕はたしかに
幸福だった
都市の光の中で
街も人も
まぶしさに包まれて
その眩しさに
影を見失いそうになっても
やっぱり僕は
ある光を
信じている
それは
見えるからじゃない
失くしたくないと
思えたから
僕は
手放せなかった
この唄を聴きながら
そう記した
2017年11月19日
「ある光」
小沢健二の声が
あの日の夜に
僕を照らしていた
コメント
最近ますますいいですね
世界が平等じゃない理由の考察、なるほどと思いました。
@花巻まりか
これは昔の日記から作りました。