青空
照射
↑
傾いた部屋からアーモンドの匂い |
君の首筋から狂おしいメロディー |
フラスコの中をぞろりぞろり舞う |
肺胞に絡む網からの解放を願えば |
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塩化ビニールの都市を溶かす熱線 ┘
レーザー誘導式のキャベツ型爆弾 ┐
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静謐から浮かぶある非日常の冒涜 |
リアルはハルシオン3錠で終わる |
真昼ざわつくマゾヒズムの欠片は |
猫の額を青く照らす空から落ちた |
↓
投下
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.020: Title by のんち]
コメント
なるほどあおぞらか。それは気づくまい。
前半の肉体的なものとそうではないものの共演。もしかしたら、死の匂いも感じる。
後半は静けさから浮かび上がる精神的なざわめきの世界。
詩の中間から上昇していく詩行と詩の中間から最後の方の最終行に着地する詩。
タイトルが青空。青 空 なんですね。
この詩から生物的な艶を感じます。読んでいる最中に、自分が生きている実感を感じます。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、滑稽です。もちろん良い意味で。書かれている言葉の真剣さにもかかわらず、右端の記号によってそれが滑稽なものに変わる。例えて言うなら、ゲーム画面のように。詩がゲームのように思える面白さ。
投下 ~ 照射と、ラスト1行が印象に残ります。
二連目の二行が、「照射」と「投下」の分岐点になっている。それでいて、この二行が上手く繋がっているんですね。視覚的な面も含め絶妙です。
猫の額に空が映る様が印象的でした。
短い映像が次々と現れるイメージがあります。印刷物になったらかっこいいんだろうなあ。