その時まで
一つの窓から零れおちる音楽の
さまざまな音色は呼吸している
一輪の花の散り際に
卵は一冊の本を読み終えた
青空色に青ざめるほほ。
ほほ笑む気配の黄色の蝶々はひらめく。
ゆびさきのさした白い雲は旅に出る。
誰にも邪魔されないゆれるこころを
音色の物語と会話をする日に透けた葉の群れへ
人知れず魂のあいさつをする。
青い惑星に住む
私は
今日もありがたい
そよ風に染まりつつささやく
ありがとうございます、と
名も無い私の
深い闇に浮かび上がる
白い顔は無表情に
いつかの夜の星の沈黙
古い手紙を読みかえすと
あの時の気持ちがひびいて来る。
失われたものを
一生背負ってゆくのであります
一つの窓の
一輪の花の
青空色の
いのちと共に
青い惑星がまわる
いつまでも
いつまでか
その時まで
名も無い影は光とおどる
コメント
ネガティブなものが一周回ってポジティブなものに変わっていくような、こしごえさんの生き方のスタンスみたいなものを読みました。過去を背負って現在を通過した自分が「ありがとう」を言えるかどうか自信はあまりないけれど、「その時まで」この詩を覚えていようと思います。
トノモトさんへ まず、トノモトさんがそう思ってくれて、そう言ってくれて光栄に思います。ありがとうございます。
はい。ある意味、失われたものも現在につながっていますよね。失われたものを背負うことによって、現在を認めたいと思うのです。そして、背負ってゆく。難しいことかもしれませんが、できるだけ、できるだけの存在や物事を認めたい。たとえば、(全てを肯定する必要な無いと思いますけれど、)過去を否定してばかりでは現在の存在や物事も否定してしまう恐れがあります。ただしもちろん、よいことは よいということと悪いことは悪いと認めた上で。
未来のその時にどう思っているかは今の私には分かりません。時には悲しくて苦しい時もあります。悲しい 苦しい時は、悲しい 苦しいと言います。でも、いろいろとあっても、今日もありがたいことには変わりない。なので、ありがとうと言った方が すてきだと思うのです。できるだけ、ありがとう、と。うん。
訂正()内の ×肯定する必要な
○肯定する必要は
失礼しました。拝礼
再生へと向かう緩やかな想いが伝わってきます。一連目、二連目、三連目、の描写がきれいですね。作者の心の有りようなのでしょう。
長谷川さんへ 長谷川さんがこの詩の想いをすてきに そのように読んでくれた上に、一連目、二連目、三連目の描写をきれいと言ってくれまして うれしいです。ああ、ありがとうございます。その各連は、私の思うそれぞれの世界と自分のゆれる心を表したものです。長谷川さんが、それらを作者の心の有りようなのでしょうと捉えてくれて貴重に思うし、作者の心のきれいな部分を認めてくれて ありがたく思います。
音と色が蝶のようにひらひらと遊んでいるようでした。
たちばなさんへ たちばなさんがこの詩をそのように捉えてくれて貴重に思います。ありがとうございます。
うん、そうですねぇ。色は文章から比較的イメージしやすいと個人的には思うのだけど、音までも感じてくれて、ありがたく思います。そう読んでくれて うれしく楽しいです♪