ファムファタル・コンプレックス
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ファムファタル・コンプレックスが 何処かの孤独で呟く
「ジンを飲みすぎた翌朝は飼い猫を連れてミニクーパで海を見に行くの」
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話し
かけ
る
感情
が
いな
い
一人
の
ワンル─ム
.
ファムファタル・コンプレックスは
「あたしはありがちな女でありもっともありふれた都市収容者」なのだという
.
劣情
に
噛み
つ
き
TV
見
て
いる
.
ファムファタル・コンプレックスを生んだ両親は
「ポーランドの亡命貴族」であり
もっともそれは彼女のよくつく嘘の一つである
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真夜中
の
必然的
星座
の
彼女
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ファムファタル・コンプレックスの子宮は
「あの日のワンコインのバー」であり
「あたしの顔はずんずん突かれる切なさで、きっと滅茶々々」
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物質
的
な
セロトニン戦闘
の
消費
世界
で
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ファムファタル・コンプレックスは
彼に愛されないくらいなら
「寝てくれない男をスキンヘッドにして灯台の下で泣きたい」と願う
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そ
の
最
後
を
生
き延
びる
物欲的生存者
.
ファムファタル・コンプレックスは
「誰とでも寝る女になるの」と
誰とでも寝るチンカス野郎の下で思う
.
神経的末路
は
ゲラン
の
香水
そ
の
すべ
て
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ファムファタル・コンプレックスの野蛮に姑息な妄想は
「ゆうべ、コインランドリーの乾燥機の中で死んじゃったあ」
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愛する
た
めに
生きて
忘却
す
る
た
めに
愛する
.
ファムファタル・コンプレックスの前科は
運命のペニスへの高慢であり
「でもあたしのコーマンと打算はあいつの指先で戦死する」
.
結末
の
ゴディバ
の
ショコラ
を
.
ファムファタル・コンプレックスは
万引きしたレンピッカの画集を眺めながら
「時々思い出したい顔のことを思い出す」ふりをする
.
指
に
つまん
だ
数秒
で
ドレス
の
魔法
と
キス
の
催眠術
に
目眩
い
す
る
.
彼は
きっと今夜
何処かの孤独で
ファムファタル・コンプレックスを思いながら
呟く
「彼女はもうずいぶん長く生き過ぎた」
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コメント
ヨーロッパの映画のかほりがします。
たちまこさん、ありがとうございます。80年代のおしゃれソング聴きながら書いたので映画的っすね!
あああさん、ありがとうございます。こういう詩を書くのは、僕がドMだからだと思います。