噓
白鳥よりも輝いている水面。美しい。ホウ、ホウと、水面よりも輝こうとする白鳥。その中に、鴨が数匹。仲間外れの仲間という言葉すら知らない彼らの、人生がきらきらしている。
羽の裏が、くろぐろとしていた。噓。彼らは嘘をついている。生臭い魚が舌を突っ切る。今まさにわたしも蝶になるところ。生臭い蝶に。硬く、けばけばとした羽が、ハリネズミのように光を跳ね返している。じわじわと恨みを溜めた白鳥が、わたしを食べる。
そこでようやく、わたしが蝶だったことに気づく。
白鳥よりも輝いている水面。美しい。ホウ、ホウと、水面よりも輝こうとする白鳥。その中に、鴨が数匹。仲間外れの仲間という言葉すら知らない彼らの、人生がきらきらしている。
羽の裏が、くろぐろとしていた。噓。彼らは嘘をついている。生臭い魚が舌を突っ切る。今まさにわたしも蝶になるところ。生臭い蝶に。硬く、けばけばとした羽が、ハリネズミのように光を跳ね返している。じわじわと恨みを溜めた白鳥が、わたしを食べる。
そこでようやく、わたしが蝶だったことに気づく。
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コメント
そのまま、人間関係に喩えて読んでみました。
そこでようやく、わたしが蝶だったことに気づく。
短いお作品ですが、本質を突いていますね。
水面よりも輝こうとする白鳥、仲間外れの仲間という言葉すら知らない”鴨”
食べられて初めて自分がもはや幼生ではなく蝶に変態済みだったことに気付くなど。あちこちおもしろいメタファーがちりばめられてて好き。