即興/季節風と片恋

冬空から風が降りてくる
散りばめられた星々を
粉々に散らかしそうな勢いで
落っこちてくる

星の落っこちたあたりへ
連れて行ってくれと昔書いたのは
もちろんきみに向けたもので
もちろんきみには届かなかったけど
ぼくはきみに抱かれたかった

風向きばかり気にしてるから
風の強さに気づくのが遅れる
逆もまた然り

あの日叱られすぎた子どもは
人を叱れない大人になったよ
風が吹くまま
いつもぼんやり口を開けたまま

海へ行きたいなあ
凍りつくくらいの夜がいいなあ
星が落っこちてくるのを見たいんだ
ひとつひとつ名前をつけてやる
届かなかった手紙と同じ数だけ
遠くの方で火があがるのを

諦めてしまってから薬を飲んで眠る
だけどREMを数えながらだ
夢みたいな夢を見たいな
今度はきみを連れて行こう

テロップが流れる

-Based on xxxx story-

投稿者

東京都

コメント

  1. 冬空から風が降りてくる、という一行目から一気にリズムよく読めました。
    それだけあまねさんの詩には読ませる力があるのだと感じます。
    今度はきみを連れて行こう、この詩の話者のその恋が叶うといいなぁ、と思います。

  2. 叱らなくても良いのだと
    思います
    優しさが伝われば
    星が落ちても、それを忘れても
    詩をかけますね
    寂しいような素敵な雰囲気です

  3. その夜は多分、諦めきれなかった夢が叶う夜なのだと思うのです。

    内緒の夜です。

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