
こむぎの国
こむぎは80年に一度実る
人間が3代かけても
収穫できないかもしれない
だから宝石と同じ価値がある
(むぎは一年に二度実る)
「私達はこむぎのために産まれ
それが枯れても休めない
奴隷だ
でも、誰もそのことに気が付かない」
100代目の巫女
たった数日のパンを献上するためにできた国の
誇りとプライド
純粋な理性
尊厳を知らない
星を見る子供のままの無邪気な目
こむぎと同じ
水を飲んで生きる
こむぎを家族と思い
悼みすらする
彼女は
こむぎに仕える
戦争に負けた
こむぎの国の女の子
何度抱き締めても
同じ空の下には
いないと友達が言った
遥か昔の遠い故郷で
一緒だったんだろうな、と
僕も頷いた
戦争よりも前に、
産まれてもなかった彼女を
愛した気がする、と
今日みたいに
食べ物を奪い合って
水を盗み
可能なもののすべてを壊して
憎みあいながら
まるで悪いことなんて
何も起きなかったみたいに
隣にいてさ
ずっとあの子のことが好きだった
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