波音

波音

かつてコップの中に海があった
そのコップは窓辺に置かれていたのだが
いつしか窓辺は取り払われ
コップだけが残った
やがて長い年月が経ち
海も干上がってしまった
コップは待っている
再び陽の当たる窓辺に置かれることを
海に満たされ波の音を聞く日々を
自分がとうに散り散りに砕け
ただのガラスの欠片になったことも
もう覚えていないのだ

投稿者

コメント

  1. この詩を拝読して、思い当たるふしがあるとすれば。私は、ずっと昔のある時には、既に、大事な存在や物事を 失っている、ということでしょうか。
    それでも、現在も、こうして、暮らして行けるのは、その昔と現在がつながり続けているからだ、ということだと思います。失った事実も、私の人生の一部だということだから、だと思う今の今です。

    たもつさん、大事な詩を ありがとうございます。

  2. 夢を掴もうとしていた若い手の平が皺だらけになり、やがて皺だけになり、
    それでも掴もうとしていて。こぼれ落ちるだけなのに。
    詠み主の意図とは違うかも知れませんが、そんな残酷な色を感じました。
    とても良かったです。

  3. @こしごえ
    こしごえさん、コメントありがとうございます。
    つながり、失った事実も自分の一部、などなど、ああ素敵な「覚悟」、だなと思います。
    少し逸れますが、例えばスポーツなどで新記録がでたり、今まで誰もなし得なかった技がでたり、そのようなことも、個人の才能や努力もあるのでしょうが、やはり先人達が未達の領域としてつなげてきた結果なんだろうな、と思うことがあります。

  4. @風太郎
    風太郎さん、コメントありがとうございます。
    残酷というのはよくわかります。人、って可哀想だな、と思うときがあって、過酷な状況に耐え、乗り切る、そんなことの繰り返し。繰り返せるのはまだ良いのかもしれません。そのまま壊れてしまったり。自分の最期はどうあるべきか、考えるお年頃になりました。悔いなく、というのもありですが、後悔だらけの人生、それもまたありかな、などとも思います。

  5. そこでわたしたちは〈衣類〉をまとめて立ち去らねばならない、〈イルイ〉とはなんとはかないものであろうか、窓辺に立つ勇気すらないのに。

  6. @坂本達雄
    坂本達雄さん、コメントありがとうございます。
    なるほど、衣類とは儚い、素敵な言葉ですね。
    片仮名でイルイと書くと、もうそこに存在している、もしくは存在していない、その中間の繊維とはまた別の何か、という気がします。

  7. 五行歌返詩

    思い出のなかで
    みんなみんな
    大人たちは
    しずかに
    眠つています

  8. @足立らどみ
    足立らどみさん、返詩ありがとうございます。
    私かららどみさんへ

    大人たちは
    眠っています
    それなのに
    世界はとても
    しずかでした

  9. @たけだたもつ
    なるほど、、、

    連詩3連目、、、

    内言も無い子の
    顔を見てみると
    みんなロボットだったので
    笑えるように機能を追加した後で
    AIは貴殿の顔を覗き込んだ

  10. @足立らどみ
    らどみさんへ
    AIの出現は哲学にももう影響を及ぼしているようですね。

    雨が降る時の
    地面が濡れる音を
    AIはただ聞いている
    大人たちがしてきたように
    沈黙を選んだのだ

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