波音

波音

かつてコップの中に海があった
そのコップは窓辺に置かれていたのだが
いつしか窓辺は取り払われ
コップだけが残った
やがて長い年月が経ち
海も干上がってしまった
コップは待っている
再び陽の当たる窓辺に置かれることを
海に満たされ波の音を聞く日々を
自分がとうに散り散りに砕け
ただのガラスの欠片になったことも
もう覚えていないのだ

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