クラゲの窓
少し開いた窓の外に
クラゲが漂っていたので
海の中にいるのだ
そう思った
うろ覚えだけれど
あれは多分
ヒョウガライトヒキクラゲ
再発見されるまで百年近く
存在が確認できなかった
そんなクラゲ
記録の中をただ
漂っていたクラゲ
さっきまで大事な話を
していたはずだった
その途中でわたしは
足を滑らせ
ここまで沈んでしまった
このまま発見されることなく
わたしは話のように
途切れていく
クラゲに刺されないように
窓から手を外に差し出すと
指先が水に濡れる
今度は海に
産まれてみたいと思った
コメント
失っては居ないはずの自分の存在が、ふと見えなくなる戸惑いでしょうか。
けれども、焦燥というより次への願いにも思えて。
くらげの比喩がとても美しいです。
@風太郎
風太郎さん、コメントありがとうございます。時々見失ったり、時々発見されたり、自分自身との距離の取り方に翻弄されながら、ん十年あっと言う間でした。
昔から水生生物が好きで、魚などよりも異形のもの、特にクラゲがお気に入りです。子供の頃みた特撮物では水由来の怪獣怪人が御出演されると、それだけでテンションMAXでした。