午後のつまり

(一)
声の止み間
剥がれていく後翅
読みかけの白地図を
擦りガラスの中に戻すとき
鳩は父親のまま
音のでない
亡骸になった

(二)
魚介の背に
夏のような虫がとまり
ゆるやかな風が
受話器を取ると
午後のつまり
草いきれはほつれて
溶けていく氷

(三)
種になってすぐの
多年草の破裂音が
戸棚にありふれている
ピクニックはまだ
生活の一部なのに
教員の瞳の奥で
木漏れ日が閉じる

(四)
水を話す
シスターは風車を
波間に秘匿する
扉を開けてはいけない
砂礫が人に降り積もって
とても久しい
午後のつまり

(五)
排水機場の洗濯物が
失われた口笛に揺れ
またひとつの鼓動になる
終わるものも
終わらないものも
ただそれだけの声
光に収束していく

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