ひと魂(ひとだま)

発車の時間を待つ
開け放しのドアから
日中より少し冷めた風が
すべりこんでくる

「発車まであと五分ほどお待ちください」

ひとつ、ふたつと席が埋まってゆく
芍薬の花束を脇において、目を伏せる
赤い蕾の美人さん、
帰ったら窓辺に飾ろう

「今日もJR西日本をご利用いただきありがとうございます」

扉が閉まる

四人がけの端に
ひと魂がわたしを脱いで
ぽつんと座っている
ブラインドからこぼれる光
赤い蕾と浴びながら

孤独と呼ばない、ひとりに還る

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