
久留里線の乙女
※本作は創作による詩的表現であり、人物描写は象徴的なものです。実在の個人を示す意図はありません。
詞書
上総の山川(やまかは)の間(あひ)を細く通ふ路(みち)あり。
雨霧(あまぎり)たなびく日、谷の底に古駅舎ひそみて、
人の営み絶えず続くを、ひとり乙女のごとく運びけるを見て詠める。
本歌
雨衣(あまぎぬ)を 肩に纏ひて
山越ゆる ほそき乙女ぞ、
消なむとぞ 風のささやく
谷の細道(ほそみち) 今日(けふ)も運ぶ。
古駅舎(ふるえき)の 木(こ)の息づきに、
名なき日の 灯(ひ)はほの白(しら)し。
反歌
雨の音(ね)に 乙女の息を 聞きとめて
消えなむものを 守らむと思ふ
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