そこは砂漠だった
ひっそりと
砂漠だった
ただ単に
何もない

蛍、入れておいたわよ

蛍、入れておいてくれたんだね
そうか、もうすぐ雨季が始まるから
いつも忘れそうになるから
入れておいてくれたんだ
誰の声だろう
たぶん、母のような人
ずっと母のようで
傍にもいない人

列車が入構する
わたしが乗車すると列車は
わたしだけを置き去りにして
出発してしまう
そんなふうにして
多分そんなふうに

蛍、入れておいたわよ

そこは砂漠だった
嘘だよ
本当は
砂の一粒すらない
けれどどこか温かくて
守られている

投稿者

コメント

  1. さいきんのたもつさんの作品の良さは読んでいて
    小川のせせらぎの音を聴いているときのα波かな と

    世界中がα波で満ち溢れれば争いごとは無くなるのかも、、、
    しかし、現実の令和のこの世界はデジタル音波に溢れて
    夢と現実のはざまなりょういきの境にあるのかしら知らないけど
    経験と理想のアタッチメント領域の宿屋でひととき羽をやすめて
    また飛び立ちたい方々へ届いてもらいたいあたりの作品かな と

  2. @足立らどみ
    足立らどみさん、コメントありがとうございます。
    らどみさんがおっしゃるように、小川のせせらぎ、とか、木の葉の囁きとか、そのようなものを頭に浮かべて書いています。

    経験と理想のアタッチメント領域の宿屋でひととき羽をやすめてまた飛び立ちたい方々

    いただいたコメントのここのところ、とても好きです。素敵。

  3. 「蛍」のところを
    「梅干し」に入れ替えても読めるし
    「折りたたみ傘」でも読めるなと思いました。
    いずれにしても雨季ならではのやさしさある声かけだなと。
    カラカラの砂漠、だったと思いきや
    蛍の儚さと伴に束の間潤うものがありそうな。

  4. @kフウ
    kフウさん、コメントありがとうございます。梅干しも折り畳み傘も、キラキラしていて、私たちに世界が綺麗であることを教えてくれているような気がします。子供の時に捕まえた蛍、子供の残酷さなのでしょうね、虫籠の中で死んでしまったと思うのですが、最期まで看取ることなく。

コメントするためには、 ログイン してください。