手の引継ぎ

未明、波のように
街はあった
一欠片の月に支えられた
クラゲ状の外階段や
寄せては返す
街灯の孤独
その繰り返しの中で
本物の海は
おそらく街のどこかに
広がっていた
ビルとビルの隙間から
薄っすら差す朝日の中
南北に走る幹線道路を
カンガルーが横切ると
女たちは川の岸辺に集まり
思い思いに洗濯を始める
記憶の中の一室で
ふと電話が鳴る
誰もが受話器に手を伸ばし
街は少しずつ
結晶していく
それからしばらくして
手が手であることの
引継ぎが行われる

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