娘、引退させていただきます。(改訂版)

もうやめよう
あんなニンゲンたちのことばかり考えるのは

怒らせた 殴られた 蹴り飛ばされた
原因ばかり また探してしまうから

産まれたことを呪ってしまいそうになるから
誰も喜んでくれなかったことを思い知らされてしまうから
なにをしてもしなくても
ああ やっぱり あいつらの血を引いてるからだと

そんなこと云われたって
あたしにはどうすることもできないのに

そう云っておけば こっちはもうなにもできない
自分らの思い通りに いつまでも身動きできないように
コントロールできると思ってる

シアワセになるなんて許さない
自分以上に不幸になってもらわなけりゃ困る
物心つく前から 呪いのように云われ続けたコトバ

ハナウタ歌ってれば うちの家系にそういうのはいない
実兄と仲が悪いから その嫁さんもキライだから
干支が同じだ だから性格がひん曲がってる

そこの長女と血液型が同じと知るや
あの娘も可愛げがなくって嫁さんにそっくりだと
なにもかも全部を あたしに投影しまくってくる

あの人たちにはあの人たちの云い分が
不満が 憎しみが 恨みつらみが
山ほどあるのかもしれない

どんなふうに育って 生きてきたのか
きっと そんなには大事にされず
虐げられて ここまできちゃったのかもしれない

だからって だからってさ

あたしがあたし自身をキライにならないと
そんなに気に入らないのか
なにもひとつも 口答えもせずに
ただ従順に 思うように使いたいだけの
ニンゲンとさえも思われていない
下僕 奴隷

ちっちゃな頃から 薄々は感じていたことだけども
それがあのニンゲンたちののぞんでいることなのだと
いい加減 気づいてしまったから

さぁさ それより音楽をかけるとしようか
なにがいいかな
こんなときはエレカシ聴いてドーンと行ってみるか?
それともみゆきに何やってんだって
思いっきり叱られてみるか?
amazarashiで打ちのめされてみようか?
このどうしようもない 
コトバにしようとすればするほど
端から零れ落ちていってしまいそうな想いが
どこかへ吹っ飛んでいってしまうまで

喉がカラカラになったら
凍らせておいたネクターピーチに炭酸水を注いで
ゆっくり溶かしてピーチサイダーにして飲もう
とろけるようなネクターピーチの甘さで
あんなニンゲンたちのことなんか全部ぜんぶ 
生まれて今日までのぜんぶ まるごとコーティングして
ゴクゴクゴクゴク喉に胃に流し込んだならきっと
あきらめにも似たゲップが出るさ

次はなにをしようか
ひたすらにお笑い動画を観まくるか
古い映画を観るのもいいな
   真夜中のカーボーイ
   ボニーとクライド
   ジャイアンツ
   レインマン
   街の灯
   キッド
   黄金狂時代
この前 サブスクで見つけたんだ
久しぶりにゆっくりと
じっくりと 浸ってみるもいいな

そしたら詩を描くよ
あたしを全力で否定してくるニンゲンのための詩なんかじゃなく
あたしがあたしの声に ちゃんと耳を傾けるための詩を
あたしがあたしを全力で抱きしめてやるための詩を
丸まった背中に手を当てて
大丈夫大丈夫って擦ってやるための詩を
泣きべそかいたって 絶対笑えるための詩を
あたしがあたしを責めるあたしごと
ここにいていいんだって
云ってやるための詩を

いまはまだちょっと 
脳内再生が止まらなくって
脳内ループが鳴りやまなくって
なかなかうまくコントロールできないけれど

でも 必ず笑えるようになるから
必要以上にガマンするとか 
鼻先に人参ぶら下げられた奴隷なんて
金輪際 やめてやるんだから
今までされてきた あんなことやこんなことの数々 
片っ端からなにもかもかき集めて
火をつけたら 灰になるまで

だからもう少し
もう少しだけ
待ってて

投稿者

東京都

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