
青空
人生で一番愉しく、また心地いいのは、掛け算の瞬間かも知れない。
喜びが、倍になる。些細な言葉がきっかけで、会話が弾む。信じられない魔法と、ステップアップ。
空を飛ぶような、そんな気持ち。
天国への階段、駆け足で上るような……筋肉が喜びほぐれる。
思わず、笑顔が溢れる……
しかし、人間は計算を止められないもの。人生には、思わぬ引き算もある。
冷静であるからこその、引き。整いが良く、纏まりがあるからこその、こだわりもある。
時には、引くだけでなく、割る。理解しようとする。
なにかで、なにか? ものに例え、比較さえして、分かろうとする。納得しようとする。丸く、納めようとする。
足らなければ、足す。時には、付け足す。余分なもの、余剰なもの。
人生は、寂しきもの。そうせずには、居られない。それがプラスになれば、それで良い。
足したり引いたり、掛けたり割ったりの魑魅魍魎、複雑な計算式の中で、Xとは、なにか? Yとは、なにか? なにかを求め、なにかを集め、なにかを呼んで、時に人は論理だけでは生きられぬから、獣の匂いを求める。
SEXや殺戮、食事、排泄。
臭い仲というものが、人と人との輪を作り、円陣を組ませる。
闘い、闘争、距離感、自立心、気高さまでも、欲望、血の気、この内臓へと続く本能は求め、巻き込んで、次の一手はどこか? その次の一手はどこか? 見えている時、見えていない時……..
不思議な一本線で繋がれた、プラン。壮大な夢、時に掴みどころなく、だからこそお約束の世界へと帰るより、致し方ないような。
円環の中を、退屈を持て余しながら、自分は、割りたかったのか? かけたかったのか? 足したかったのか? 引きたかったのか? 判然としないまま、その場その場、時と瞬間の中を生き、海を眺め、空を眺め、山を見渡し、心に描きて、なにかを、分かりたかったのか? 得たかったのか? 笑いたかったのか? そう、笑い。これで善しと思える、笑い。
仕方なしでもなく、安定と快感情の中にある、その笑い。その中を生きることの、無上の喜びよ。
嗚呼、愉快愉快。晴れた青空、雲の毛布。太陽の小便までも。
人生につまづいた時に、なにがあるだろう? 愛の救いへの、涙か? 懇願か?
結局はこの世に生まれたからには、なにか面白きを生み出すことでしか、本当に救われることは、ないのかも知れない……
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