黒い薔薇
死を意識した時
僕は眠る。
眠りながら僕は砂漠にいる。
一人で佇んでいる。
夏の夜。
涼しいと言った彼女とキスをして、
僕は煙草を吸う。
愛せなかった朝を迎えて
僕は鏡で唇の痕を見る。
心臓の痛みを堪えながら
また横になる。
彼女は心配そうに
「大丈夫?」と言った。
僕は目を瞑り、何も答えない。
いつの間にか
僕は眠っていて
砂漠に一人で立っていた。
涙は純粋さの証。
僕の頬にぽたりぽたりと落ちてくる。
暖かい。
暖かい涙の体温を感じながら
僕はただ、眠る眠る。
雷が鳴り響き、
どしゃぶりの雨が降ってきた夜。
一人になった僕は砂漠の夢をよく見る。
でも、本当の砂漠は僕の内側にある。
空洞を風が通っていく。
僕の人生はずっと空洞を歩いてきた。
空洞の果てには砂漠がひたすらあっただけ。
そんなものさ。
心の砂漠に
黒い薔薇が一輪咲いている。
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