Worry Tree
あるき慣れた道など
どこにもない
縁石の摩耗や標識の角度を覚えているだけ
アスファルトを割裂する雑草が
確かな自律性でそこに宛てがわれている
「生体はなるようになる」
離れて暮らす父が呟いた呪文
腎臓を切除するための検査のあとで
いまは元気だから、と
私の予後まで気遣うように
父は、ふいに
その病院で見かけた年配の男を
「いい感じだった」と語りだす
つばの長い黒いハット
薄い黒地に細い白線模様の半袖
スマートな体型と白いズボン
俯き加減に通り過ぎ、顔も見えない他者を
佇んで見送る父のなかの
静かで若々しい憂愁
休日の朝、冷凍飯を温めて
無造作に落とす白菜キムチ
ぼんやり消費するテレビの甲子園
近ごろ目の下にうっすら
自分の影を置いてうずくまる隈を
はがすことはできなくて
コメント
リリーさん、こんにちは!
すこしご無沙汰してしまいましたが、
コメント失礼いたします。
この詩は
最初から最後まで
冗長なところなど全くなくて、
一つ一つの描写が胸に響いて
刺さりました。
本当に冒頭から
引き込まれました。
もしもですが
作中のようなことが
あるようでしたら、
すべてがうまくいきますよう
陰ながら
強くお祈りしています。
@草野まこと
様
お久しぶりでございます。あたたかいお言葉をお寄せくださいまして、感謝します。
とても嬉しいです。この作品は、改訂しタイトルも変えて今年の県のコンクールに
応募いたします。自分では、精一杯力を入れて書き換えました。
米寿を超えている父が、「今までは、ひとのことだと思いしに。俺が癌とは、こいつはたまらん」蜀山人の狂歌をもじって話してくれました。再婚している奥様がおられますから、離れて暮らしている私は見護ることしか出来ません。いつも「元気でいるよ」という父の一言に平穏な幸福を感じ、無意識に甘えてもきました。居てくれるだけで、支えになっている自分の弱さが、どうしようもなく不安に思えてしまう。父の闘病における身心の疲労を思えば、私が弱音を吐くなんておかしいじゃないかと自分で尻を叩く、今日このごろであります。
草野様、お祈りくださって本当にどうもありがとうございます!^^
@リリー
さん、大変な時にご返信ありがとうございます。
お父様のことは、心配という言葉だけでは
とうてい言い表すことのできない、
様々な思いを持っていらっしゃることと思います。
どうかお父様もリリーさんも、
可能な限り穏やかに
過ごされますように。
そしてリリーさんの文章を読ませていただいて
私はリリーさんのお父様は
とても幸せなお父さんだと思いました。
たとえ離れていても、
「居てくれるだけで、支えになっている」と
娘のリリーさんに思ってもらえるなんて、
お父様が知ったらとてもうれしく、励みになると思います。
ですのでリリーさんもどうぞ、ご無理はなさらずに
(ついつい差し出がましいことを申してすみません)
リリーさんの大切なお父様が
おつらい思いをなさらず、
すべてがうまくいきますよう、
心からお祈りしています!
@草野まこと
様
いただきましたコメントには、もう言葉にならないくらい有り難くて、
とても励まされました。心から深く感謝いたします。 合掌