線香花火

君はもういない。
僕は君の墓に向かって話しかける。
「ねえ、雨が降ってきたよ」
返事はない。
雷まで鳴ってきた。

僕は煙草を一本取りだして吸う。
そして、煙草を墓に植える。
ヘビースモーカーだった君と僕。
まさか、君が先に逝くなんて…

僕の涙なんて安っぽいものさ。
君の笑顔に比べれば。
ハイエナのように笑う君の笑い方が好きだった。

暗雲が満月を隠す。
僕は静かにすぅうと涙を流す。
もういない君との想い出を振り返り。

風も出てきたよ。

僕は墓地を去る。
実家に戻り、
一人で缶ビールを飲みながら煙草を吸う。
今夜は酔いつぶれるまで飲もうかな…

テレビでサッカーを見ながら、そう思った。

夏に一緒に線香花火をして、
君の線香花火が先に落ちた。

儚いから人は人を大切にする。
すべては諸行無常。

もう僕も長くない歳になったよ。
煙草は相変わらず吸っている。

池に月がクラゲのように映っている。
雲が流れて満月に姿を現した。

投稿者

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。