この世

君たち飽きないのか
カニのように歩くことに
ぶくぶくと沈むでもなく
泡だらけ

素早いカッティング
野太いカッティング

僕は誰もいじらなくなった畑を耕し種をまく
やり方なんて知らないから初めてのことを思いつくまま
雑草がはえてきたら
引っこ抜く
何が芽吹きかわからないから
なんでもかんでも引っこ抜く
どれだかわかんないから
雑草を育てる

暴れ出すリズムと
がなり声

高い丘に来て町を見下ろしていると
あそこにミサイルが何発も落ち
目がくらんだあと何もなくなっているところまで
ありありと想像できる

これが想像かと思うほどはっきりと

あそこがちょっと前まで瓦礫以外なにもなかったときのように
何もかもがなくなった気持ちまで想像できる

でも目にはいるのはどれも自分の事
酔える事
気持ちいいかい
言葉にしたいのはそんなことなんだろう

そして僕はボタンを押す
モルドヴァから僕を咎める声

この丘はどこにも誰も存在したことがなかったかのように
やたら静か
風が首元をめぐってももうなにも感じない
つま先の芽吹きに目をやる
 
世界の終わりが そこで見てるよと
紅茶飲み干して 僕は静かに待つ

投稿者

岩手県

コメント

  1. 私がモルドバという国を意識したのは20年ぐらい前に王さんが書いたものを読んでからです。隣国では大変な事態になっていますね。私たちは具体的に何もできない。考えることしか。

  2. オレは何もしないし、考えることもしない。パンを焼きながら、あなたの詩を待ち焦がれている。

  3. 天災と人災は違う。それはわかってるけど、災いは一緒なんだ。
    今日という日に思いを馳せる。自分の国に、これからも彼の国に。

  4. この頃、ニンゲンについて、あれこれと考えています。世界情勢として捉えるとややこしくなりますが、小学校の教室に置き換えて考えてみると、実によくわかる。…そして、自分の立ち位置も。想像力は、大事ですが、やっかいでもありますね。

  5. すべては人間の営みですね。それ以上でもなく以下でもなく、ただ永遠に繰り返される営み。

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