通夜

綿菓子が曇った夜空に
ほぐれて溶けていく
描き続けた鉛筆は
冷蔵庫にしまっておいた
波間のエレベーターは
花畑の夢を見ながら
昨日のある方へと
漂ってやまない
昔と同じ型の自転車が届く
他愛のないわたしの童心は
それに乗れば
どこまでも走って行けた
したい話は
たくさんあった

投稿者

コメント

  1. どなた様か、亡くなられた のでしょうか。合掌

    他の詩人もそういう所があるのでしょうが。
    たもつさんの詩には、通常の文章とはちがう詩的文脈がありますね。それは、常識では計り知れないものです。そこに、
    たもつさんの真骨頂がありますね。

  2. 結局、死んでゆくとき最後に思い出すのは、幼い頃に買ってもらった、自転車の色かもしれない、なんて思いました。

  3. ひとつひとつのフレーズが
    もうここにはいないひと
    「死」を、暗黙のうちに連想させてますね

    したい話がたくさんあるのに
    もう、その人はいない

    綿菓子は静かに溶けて
    鉛筆は冷蔵庫の中で冷えてしまっている

    しんとして、ポカンとしポツネンとして
    言いしれない淋しさが全体に膜を張ったみたいに
    覆っている感じがしました

  4. 波間のエレベーターは明日には行けないのですね…。花畑の夢をみながら、穏やかな波間をたゆたって、ほしいのは、見送る方の夢でもありますね。

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