破裂
そこに立ち尽くす人は
からっぼになって
何も浮かばない
世界は破裂して
停まっている
そこに立ち尽くさぬ人は
考えることを拒否して
別の世界に戯れ
交わらずにいようと
密かに決める
そこに立ち尽くす人は
言葉を失い
花が咲いたことも気づかない
立ち尽くさぬ人は
言葉を産む
花を摘んで部屋に飾る
悪い夢が立ち尽くす人の
眠りを邪魔して日陰を作る
日陰から巻き起こる風が
やがて嵐となり
立ち尽くさぬ人の夢を
破裂させる
雨がふる
やまぬ雨
水かさは増し
全ての踝が濡れる
徐々に踝は沈んでいく
静かに静かに
立ち尽くさぬ人が
気がつき
立ち尽くす人に
先をうながす
立ち尽くす人は
我に返り
恐縮し
立ち尽くさぬ人に
謝辞を述べる
そこで交わらなかったものが
交わる
同じだ
世界は
僕は願う
水の底で
分け隔てもなく
勝者も敗者もなく
死者も生者もなく
嘆きも苦しも消え
平凡も混沌も
同じ夢をみんことを
コメント
ある日、人は立ちつくし、別の日、人は立ちつくさない。病気になり、戦争になり、災害になり、あまりにも理不尽な犯罪に巻き込まれて人は立ちつくす。しかし愛しあい、喜びにあふれ、満腹になり、幸せな眠りについて立ちつくさない。しかしその両者は同じなのだ。同じと言っては語弊があるが、同じものの裏表なのだ。つまり高と低、陽と陰、プラスとマイナス。エネルギーの流れを作る宇宙のダイナミズム。壮大なエネルギーの流れの中に人もいるのだ。立ちつくす人と立ちつくさない人。それは同じ人の作り出すエネルギーの流れの両端なのかもしれないと思った。
たかぼさんのコメントで僕は救われたような気持ちになりました
この詩を読んで「僕」の「願い」が叶うことを私も願います。
ああ、心に染みる詩だなあ。
たかぼさんのコメントも含めて共鳴しあう感じが素晴らしい。
そして、こしごえさんのコメント同様、僕も同じ願いの中で、立ち尽くしたり立ち尽くさなかったりしているんだろうなあと思います。
水の底、なのですね。そうか。
皆さんのコメントと響き合って揺らぎます。
出来るだけ流れにのって思いつくままに振る舞おうと生きていますが、時には立ち尽くすことも許そうと思いました。