
雲を越えし海燕
序詞
荒海の
波路の果てに
残る灯を
若き翼へと
伝ふるものを
詞書
若き日、幾たびか黒雲を越え、荒海の嵐をわたりて、なお胸の灯を失はざりし海燕あり。年経て後、その灯を若き翼らに伝へんとする心をよみて。
本歌
黒雲を
越えてのこりし
胸の灯は
消えぬ望みの
影となりけり
荒海を
わたりて知りぬ
世の嵐
強さは耐ふるに
あらぬものかな
折るるとも
また立ちゆかむ
翼あり
波路の果てに
朝日待つなり
心なる
かすかなる声
絶えせずに
なほ望みあり
風に聞こゆ
雲晴れて
海燕のこす
一灯は
若き翼の
道しるべかな
教ふとは
知を授くるに
あらずして
望みの灯を
伝ふることぞ
行く先の
空は知らねど
若鳥の
翼に託す
明日の光を
黒雲を
越えし海燕の
声ひとつ
望みはありと
なほ響けり
結び歌
雲晴れて
跡なく消ゆる
海燕の
灯のみぞ空に
なほ残りける
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