列車に乗って
山を越えて
海を越えて
街を越えて
森を越えて
川を越えて
だんだん畑を越えて
私たちはどこまでも越えてゆける
揺れる列車に身を委ねて
窓から差しこむ日差しに
明るい未来を感じることも
暮れてゆく夕日に
自分を重ねることも
変わらぬ景色を懐かしむこともできる
この世に生まれてから
私たちはいつも自然と運ばれてきた
見知らぬ土地に着いても
見知らぬ土地に来るのは初めてじゃない
列車は必ず運んでくれる
良いものも悪いものもすべて
だから私たちは捨てるのに忙しい
新しいものが多すぎて
大切なものはすぐ
底のほうに隠れてしまうから
列車がガタガタいい始めたら
そろそろ荷物をまとめて
新しい列車に移らなきゃならないよ
いくら気に入った列車でも
やがて動かなくなる日は来るんだ
その時僕はどんな姿をしてるかな
何か持っていけるものはある?
馴染みのみんなとの別れはさみしい
でもまたどこかで会えるかな
列車に揺られ続けていれば
僕の列車と君の列車が
いつかまたすれ違うよ
懐かしい君に会える時まで
お土産をたくさん作って
待っているよ
つらい日々も楽しみに
待っているよ
コメント
20年前に、ぽえ会に投稿した詩です(ここにも投稿して大丈夫でしょうか?)。書いたのはきっと学生時代、10代のころではないかと思います。受け身にならざるを得ず、流されるままに流されていた自分を、列車に重ねていたのかもしれません。今でも知らない土地で、列車に乗って、いろいろな景色を見るのが好きです。
長く乗っていた列車から降りたばかりです。大切な人はまだ乗り続けていて、先へと進んで行きました。いつかまたすれ違うことはあるのでしょうか…。
大切な人は、離れていても、心のどこかでつながっているような気がします。人は必要な時に必要な人と出会うような気もするので、きっとまたいつか、お互いの軌道が重なる時がくるといいですね。
お土産をたくさん作って待っている
本当に、愛です
泣けました
ひたすらにやさしくて、そして瑞々しくもあって。
心地よくしみてくるすてきな詩だなぁって思いました。
私はこれまで何回、旅をしただろう? 汽車に乗って。 そしてまだ旅は終わっていない。
那津na2さん、コメントありがとうございます。若い頃は、誰かに何かしてもらうと、それをちゃんと相手に返さなきゃと思っていましたが、だんだん自分が幸せになることが恩返しなのだと気づいたり、今なら相手に何かお土産を渡せるかな、と思ったりしています。
たちばなまことさん、ありがとうございます。昔、中島みゆきさんの「流浪の詩(さすらいのうた)」という歌が好きでよく聴いていて(昔で恐らく知っている方は少ないかと思いますが)、何らかの影響を受けて書いた詩かもしれない、と思い出しました。
軽快なリズムの明るい曲でした。
babel-kさん、同じ景色も、昔と今では見え方が違ってきたり、最初はどこかに向かっていたのに、どこに向かっているのかわからなくなったり、一緒に乗っている人がいつの間にか変わったり、自分の今乗っている列車を、外から眺めてみたいです。