水の日々

アマリリスの
真紅のラッパが
水の午後を
緩やかに吹き鳴らす

アジサイの
不揃いの八分音符が
水の庭先で
密やかに雨音を歌う

折り畳み傘が
嫌いな私の日々が
水の季節に
うっすら染められていく

暮さ

なけれ

ばならない

死に至らない
焦燥と不安と後悔と
水の憂鬱を
のほほんと詩に書いて

暮さな

ければな

らない

長袖シャツの
襟元を掠めていく
水の吐息に
そよいでしまった覚悟を

誤魔化すように
ホットココアをすすり
水の記憶を
温めようとするのだが

投稿者

東京都

コメント

  1. 雨とは言わず水と呼ぶことの暴露というか、すごく原始的な視点の危うさみたいなのがあって、「暮らさな/ければな/らない」という不穏な改行とか、ラストの締め方とかも含めて、グッと心を掴まれました。

  2. 日常の死に至らなさを自分も感じているので、植物に見透かされている様な心地になりました。
    終わり方が良いー!と唸りました。

  3. トノモトショウ さん
    >コメントありがとうございます
    「不穏な改行」は試行錯誤の真っ只中で
    まだ未完成です。(ということにしておきますw)
    湿気は日々を不安定にしてくれるかわりに
    下手な詩を書かせてくれます。

    たちばなまこと さん
    >コメントありがとうございます
    樹々や花の健気さにはハッとさせられることが多いです。
    終わり方。。。難しいですよね
    いつまでもダラダラと書いてしまいそうだったので
    途中で止めました(笑)

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