デルタイ
死すとも可なり
ダイモーンの声は東の野より
ケロッグの箱はぬるぬると
性はシモツケの郷土を撃つ
死人は叫ぶ、生者は黙る
傾いた城から結晶した人間たちの意識が
かんばせは、さらにうるわし
極限のソフィア、ただ極東の島国の
スロープに立ち
からだは傾いている
ヒフミ、ヒブミ、解き明かそうぞ
解明の果てには、ヒシの実を割りて言う
ソロモンの秘跡、阿武隈の山中に
ピラミッドの形をしている女がいる
形から侵入するわれわれは
次元を理解した民族である
たわわな肉体のおいそれとは傾きはしない
ピンセットのねばりけの感情的胞子が飛ぶ
自己による規制による自我の喜びの管理する
オクタビアヌス、そして彼の噴門
下降するイッサイガッサイ、羊のとき
眼を閉じて、見なければ、イッサイガッサイ
ビーナスの姿も北陸の波しぶきをかぶり
濡れたからだは、濡れた肌は、濡れた髪は
幻の記憶の幻想のしなびたそれは
蟻塚の内部の乾燥した心のように
わたしは記載された道をたどりつつ
それでも鍋の蓋を手にしたままで記憶する
ショーペンハウアーの手帖の一部
ブッダの言葉の一部
アリクイの舌先の感覚する世界の一部
共感と貫通の一部
地毛と自我のあいまいとして、もやもやとして
ピューリタン、票リターン、豹のしなやかさ
大地的女神を信仰する我々の精神は
究極のアルマジロと呼ばれるもの
ポリスの神殿の内部から求め
世界史的航海の時代がはじまる
そのような時代のかぐわしい陰部として
大洋ははげしく格闘する
日の国の大王より、月の国の大王に遣わす
ツツガムシや、リュウキュウナナフシや
ミドリアカコガネ、その変異種や
人間の異端種となり
世界の支配する感覚の異端者となり
不可思議の迷路、未知のシグナルから発する
ベリーゼ、それは神の手から細く伸びて
わたしの神経へとつながっている
バナーズ、思考する諸々の端緒から
沼地へと緑野からバンアレン帯へと
カラスノエンドウのように道連れである
縛られた身体の苦しみを快楽とする
異常なる精神の響きわたる空間の
蝋燭を持ち、死体の間隙を刺す
意識するわれわれの心のよだれ
間隙を刺す
神のよこしまな、愛情の鮮烈な
肉体のわれわれは
よこたわる失われたものとしての物体
ただちに宇宙の背景放射として
とけだす、とけこむ、にじみだす
そしてとまった時間のいとしずかに
正常な精神は神を感じる
いとしずかに神を感じる
グリューネバルトとともに行きましょう
とろとろととけてしまったわれわれの精神は
はや極東の国、森のたたずまい
小さな石をつんでいる
はだかで立つ
石のうえ。
コメント