ミュージック・ライフ
微睡みから始まるプレリュード
アパートの汚れた窓に貼り付く
夢想の音 月影ビブラフォン
壁紙に取り憑いたポロネーズ
カッターナイフで引き裂く
狂乱の音 火球ファゴット
無重力を漂うソナタ
バスタブを生温い血液で埋める
背徳の音 水煙フルート
足首に群がるメヌエット
カーペットにするりと落ちる
寂寥の音 木馬ホルン
鏡の裏側で奏でるラプソディー
イビツに作られた腹部に残る
生命の音 金魚オルガン
乾いた空気に流れるトッカータ
オレンジの瞳で睨む 精霊が語る
現実の音 土塊トロンボーン
微笑みで終わるレクイエム
スカートの裾にこびりつく
後悔の跡 日食ヴィオラ
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.018: Title by 春日響]
コメント
みんないつもありがとう。
オレはやっぱり自分の作品を読んで欲しいし、色んな人から感想をもらいたい。だから他人の作品も読むし、感想も書く。でないとフェアじゃないもんね。
嗚呼また良い感じのやつ、来た。(詩人のくせに感想の語彙力!)
個人的には、月影ビブラフォンも捨てがたいですが、水煙フルートが好みです。
読み終えて、明和電気の楽器コレクションに並べてありそうだなと思った。双方にリスペクトです。
ミュージック・ライフと聞けば私などは古いので一世風靡したロック音楽雑誌を思い出しますが意外にもクラシックで来ましたか。ロックバージョンはあぶくもさんにお任せするとして。途中カッターナイフや血液など危険な情景が並びますが微睡みではじまり微笑みで終わったようでなによりです。
すっご……僕は鏡の裏側で奏でるラプソディーが好きです
音から跡に形を崩して〆るところがお洒落だなぁと感じます。
ぼくもタイトルを見てあの雑誌を想起しました。ロックっぽい方向かと思ったら違うのね。でもこれはこれで趣がよき。
それぞれの楽器と紐付いたイメージが、自分とは違ってそれが面白い。
手慣れた作者でも褒められたいものなのでしょうか?
個人的には言葉との関係が自由な作品は好きな路線。
読んでいて楽しいからね。
それぞれの楽器などが楽しいです。
最終連の次の一行、
微笑みで終わるレクイエム が好き。
「月」~「日」になってて。「七」連で終わって、最終連でレクイエム。うん。工夫もさすがです。
新しい細胞のにおいがします。
一週間昂りっぱなしになります。
最初の言葉、響きました。
感想を書くのが怖いもので。。。すみません(笑)
建設美みたいなものを感じました。
自分も似たようなことをよくやるもんで(語彙力はおよびませんが)
最後まで素晴らしい集中力で書かれていますね。
やっぱりトノモトさんだ!