タチアナ

水盤にみちている秋の重力
きしみながら、菩提樹はさわがしく
ミサイルの噴射はテストされる
細密な設計図の両端には、きしみながら愛欲も
シャベルのカルボナーラのゴムはくいこむ
タチアナは熱せられて
鋼鉄の遮蔽板から愛欲のパイプを通して
肉のしたたる発火点は液体の流動する蒸気のまま
カマンベールの遠心から、等価のオイルへと
略奪する衰微の兆候、それはアジア的大陸の美を
もてあまし、もてあそび、あからさまにしばる
おだやかに唇を、かきむしる頬骨の
油圧式切断機のカステラのほだされてゆく
蝋人形のタチアナは
断崖の化粧瓶を持つ、恋情のダイナモの糸くずはほつれて
ピカピアの描くエッフェル塔の青いむなじを
ガス灯のよだれで何日もひもじく思う
クイズのような円形の胴体が
教唆するのは我が秘密のトロッコ
宝石のつまった袋を
円筒形の駱駝たちに食べさせている
タチアナのマシュマロの夜具をミサイルの先端に
それは核兵器のリトマス紙のことだ
舐めてみると、かすかに感じるのは
わたしの机の角、オームの羽のようにとざされている
はさまれた指の奥には、おびただしい人間のうめき声
ばしかれた飛行船の窓から立ち昇る
記憶されて肉体にはさまれる、薔薇の絵本たち
オマールはふいごからの風を額に受けている
ペルシャ風の愛撫を白い猫のように
タチアナは白い猫のように
ミサイルの先端にくくられて
死をほどいてください
我々は水飲み場を欲している
完全な記憶の内部に飛行する
置換された飛翔のことわり
そして彼女は
燃焼している。

投稿者

岡山県

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