精霊の樹々
夜の 樹は 精霊が 宿っている
大きな 樹ほど やさしい 精霊だ
太い 枝々が 生き物のように 動いている
歩いている私に 話しかけて いるようだ
おとぎ話の ように 木の俣には 顔があって
私に向かって 口をもぐもぐ させて
なにか 話している ようだ
じっと 立っているのに 多分 飽きたのだろう
しかし 声は 聞こえないので 私は
黙って 通り過ぎることにする
小さい 枝々の梢は 夜空に 浮かんで見える
まるで ブリューゲルの 絵みたいで
童話の 絵本のようでも ある
夜の なかを 歩いていると
樹々の気配は するのだが
声は やっぱり 聞こえないので
私は 黙って 通り過ぎる
樹々は たくさんあって 生きている方々だから
多分 寂しくは ないだろう
それより 私は この精霊の 宿った
樹々に どう 挨拶 すれば いいのだろう
このままでは 私の方が 少し 寂しくなって
しまう
多分は 精霊は 私の 気持を
樹々に 伝えて くれるだろう
と思って
あいさつも せずに 黙って 歩いて
朝を むかえることにする
精霊の 樹々は いい方々だった
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