花が咲いていた
どこにでも咲いているような花で
誰も名前もわからない
ただ咲いていた

ある日のこと
一人の少女が笑顔でその花を摘んでいた
まるで絵本の中の少女のように
一つ一つ次々と

少女はその花で冠を作った
母親にあげるそうだった
少女は母親を呼んだ
母親はゆっくりと歩いてくる
足元に咲いた花を踏みながら

少女はその花冠を渡した
母親はその花は好きではなかった
けれど笑顔で受け取った
少女も満足そうに笑った
その時
花が一つ落ちた

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