僕の心と私

後ろからの音

何かむしばむ音

それは僕の音

それは僕の心

音から逃げたいけど 僕にはできない

光になりたいけど 僕にはなれない

暗くなるとやってくる

横になるとやってくる

ちょっぴりやさしい でもかなしい心

心が後ろへ行くのなら 僕は後ろしか向けない

後ろしか向けないなら 後ろに進みたい

後ろからの音

何かかろやかな音

それは私の音

それは僕の私

音に向かいたいけど 僕にはできない

後ろを見たいけど 僕にはまぶしい

明るくなるとやってくる

縦になるとやってくる

ちょっぴり怖い でもやさしい私

私が後ろへ行くなら 僕は前しか向けない

前にしか向けないから 前に進めない

ほんとは後ろを向きたい

僕が後ろを向きさえすれば

ほんとは前を向きたい

心が前を向きさえすれば

ほんとは隣を進みたい

僕が追いつけるなら

ほんとは私と歩きたい

心が許してくれるのなら

僕からの音

なにか重くて 不安で 暗くて 

でも軽くて 安心で 明るくて

だから前を向ける

だから前に歩ける

投稿者

茨城県

コメント

  1. 言葉は繰り返されます、わたしの中で、人間の中で、しかし言葉はそのときどきで、ちがった色合いを帯びます、繰り返される言葉のそのときどきの、みずみずしいひびきであること、みずみずしい感覚であること、それを感じつづけることが、詩を書くものの責務かも、知れません。

  2. 「僕の心」が主語で「私」が目的格として読むなら、「私」の影のような精神的な人格である「僕の心」が自立して、不安定なんだけど前向きさが表れていく。この構成の新しさはドキドキしますね。

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