下街陣地
水に色づいた川の波浪に
乾いた僕の心無垢に流れ
島国で最も気がかりな街
過去に閉じ込められる
すべての路地がこの街に通ずる
夕闇の突堤あたり
アメジストの分子が飛ぶ
まるでビー玉の街
銀メッキの舗道
オレンジのネオンが染まり
そこはかとない
渦巻き状の据えた匂い
うっかりすれば一本の
摩天楼の巣に生き捕られ
余暇さえ餌食になる
きみがここでそびえられる理由は何だい
空想都市と断定するには
程遠い
生ぬるい風と苔の匂いが充満し
路面電車の古びた振動が
生産される下街陣地に
きみの見下した視線と
僕の上目遣いが交差する階に
エレベーターガール
只今の高さ250メートル
風が通り過ぎる階で
ございます
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